
「“それは許されることではない!”」
――自覚がなくとも、魂というものは本能的に愉悦を追い求めるもの。
ほぼ会話シーンに終始したもののストーリーは大きく動いた「Fate/Zero」第12話の感想。
ギルガメッシュ先生の心理カウンセリングにより、綺礼の“運命”の歯車が徐々に狂いはじめる・・・・
地味ながら本家(stay night)ファンにはニヤニヤできる要素満載です。
※原作既読のため基本的にネタバレあり。なので閲覧は自己責任で。

「言峰綺礼。・・・・貴様は、何者だ?」
ギル様といい切嗣といい、本当に綺礼さんは人気者だなぁ(笑)さすが本家ボスは存在感が違うぜ!
今回は第6話以上にクールダウンの印象が強く、ひたすら会話パートに終始したお話でしたね。
一応、次回で一区切りつくと考えると直前回でこの地味さはいささか盛り上がりに欠ける感じは否めませんが、
といっても前に書いた通り、このクドイまでに濃厚な会話劇こそが本作の真骨頂ですからねー。
もう初見の方もだいぶ察せられてるでしょうけど、やっぱこの作品を一般的な「バトルアニメ」と規定しないほうがいいと思うんですよ。
もちろん2ndシーズンはこれまでより圧倒的に派手なシーンが増えることに間違いはないのですが、
それでも、できたらこの会話劇からもより原作の魅力を感じてもらいたいなー、と思います。
まぁそれはさておき、ここからは順を追って本編の感想を。
まず冒頭、ライダーの宝具評価を聞いて“後悔”の念を浮かべるトッキーがカットされなくて良かったです。
パッと見、平静を装ってましたがホントはアレめちゃくちゃ動揺してますからねw
ようやく本腰入れる気になったのは良いのですが、その後の綺礼×ギルの会話を見ても道化になるってのは誰しも想像ついちゃうからなぁ・・・・
笑えるというか、哀れというか。
トッキー「ついにこの工房を出て、冬木の戦場に立つ時が来た(キリッ」
なお、1クール目の出番は(おそらく)これで終了の模様。
「言峰やべぇよ・・・やべぇよ・・・」と内心ビビリまくってる切嗣については華麗にスルーとして(ぇ
セイバーさん&アイリのシーンはシリーズのファンからしたら色々と見応えある場面でしたね。
会話の見せ方自体は凡でしたが、なんといっても10年前の衛宮邸を映像で観れたのが嬉しい。
来るべき“召喚”への伏線はもちろん、土蔵の埃とか相変わらず細かい気配りの利く描写が○
まぁこの一見重苦しさを感じるシーンが実は当人たちにとって最後の幸福な思い出になるのだと考えると
まことに切ないシーンではありますけどね・・・・良くも悪くもここからのアイリは“聖域”化するわけだから。

「求めるところを、為すがいい。それこそが娯楽の本道だ」
そして娯楽は愉悦を導き、愉悦は幸福の在処を指し示す――
今回のメインといっていいでしょう、続・ギルガメッシュ先生の心理カウンセリングのコーナー(笑)
うーん、思い入れの強いキャラってこともあるのでしょうが、やっぱりこの二人の駆け引きが面白いですねー
チェスの駒をサーヴァントに例えた演出など、見せ方にそれなりの工夫が見受けられますし。
正直に言って10話(聖杯問答)よりもこっちの方が原作の雰囲気をよく再現できていると思います。
特にラスト数分の緊張感は素晴らしいモノがありましたね。
巧みに誘いを仕掛けるギルの「カリスマ」っぷりといったらまさに魔的・呪いの類。
“人ならざる者”って感じが実によく表れていてゾクッときました。
「道は示されているぞ、綺礼。もはや惑うまでもないほど明確に、な」
あぁ、まるで聖書の挿絵に描かれた、エデンの園の蛇のような瞳。
ドンマイ綺礼、これはさすがに逃れられない(カルマ)
てか令呪復活シーンが思った以上に痛そうだったな・・・・“聖痕”なんだから当たり前といえば当たり前だけど。
アニメーションとしての“娯楽”は極度に薄かったものの、個人的には魅入る部分の多い良回でした。
やっぱりここを削ってしまうと今後の展開に繋げることができなくなるので絶対に必要ですし、
なにより「Zero」は言峰綺礼という男が暗黒面に堕ちるまでの作品といっても過言ではないわけですから
そこに至るまでの葛藤を丁寧に描写することは全く間違ってないと思います。
「他人の不幸でメシがうまい!」それが自身の本質であると彼が気づくのはもう少し先のお話。
さて、早いもので次回で「Fate/Zero」もひとまず最終回(?)です。
どう考えても中途半端なトコで終わる展開にしかならない気がするけど、
分割確定してるとはいえ一応1クールの最後ですからね、それなりのオチを付けてもらいたいですが・・・さて。
会話劇の重要性を訴えてはみたものの、やはりこれまでの鬱憤を吹き飛ばすかのような迫力ある映像にも期待したいですね。
海魔のCGとか大変なことになってそうだけど・・・・スタッフさん頑張れむっちゃ頑張れ
――無意味の忘却。苦にならぬ徒労。即ち、紛れもなく『遊興』だ。
――祝えよ綺礼。お前はついに『娯楽』の何たるかを理解したのだぞ

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