
今年は直接映画館へ行った作品はなるべく書きたい<挨拶
そんなわけで、観てまいりました。
敬愛するクリント・イーストウッド監督の、記念すべき40作目となるタイトル。
誇張抜きで、ついこないだ『運び屋』観に行ったばかりなのにこの制作スピードは相変わらず凄い。
1996年のアトランタ爆破事件が題材ということで、
このたび描かれるは近年お馴染みの「知られざる英雄」の物語。
とはいえ、決してただの英雄譚ではなく、
過去の出来事を通して、現在(あるいは未来)の人々の在り方を問う巨匠らしい仕上がり。
過度な演出はなく、派手な見せ場もほとんどありません。
それでも、その淡々と“ありのまま”を描く姿勢が、心に響く。
観る人に委ねる、やさしさがあります。
それを、「地味」と評するのも立派な意見です。
でもね、観たらよ~く噛み砕いて自分の中の「真実」として落とし込んでほしい。
できれば、エンドロールの余韻に浸りながら。
いろいろ印象に残るシーンは多かったのですが、
やっぱり終盤にリチャードがFBIに啖呵切る場面はスカッとしましたね。
ある意味では信じていたものに見切りをつける切ないシーンだけど、
「次に不審物を見つけた警備員は、ジュエルの二の舞はごめんだと逃げるだろう」
この台詞を含めて、監督が伝えたいことが表れていると思う。
この時代はまだSNSは発達してないものの、
だからこそ、現代ではより大きな問題と捉えることができます。
何気ないワンボタンが何かを変えてしまうことがありますし、
このブログだって、ひょっとしたら何かの火種になりうるかもしれない。
膨大な情報が真実を見難くしているからこそ、誰もが被害者に、加害者に、“権力者”になり得る。
そういう意味では、あの女記者とかすごく象徴的な存在ですよね。
中盤でいきなり手のひら返しするけど、
個人的には、母親の真摯な会見に心打たれるというより、状況に流されて酔っているように見えるよ。
その後、特にフォローもなくフェードアウトするのも含めて。
もちろん、会見シーン自体の素晴らしさは言うまでもないです。
直後の、「あなたをどうやって守ればいいのかわからない」とか。
安易な法廷バトルをやんなくても、あれで十分伝わるんだなぁ。

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