
放浪息子は前を向く
カーテンコールの幕が上がる――――
今期トップクラスの安定感を誇った「放浪息子」も遂に完結。
主人公の成長がうかがえる作品は、やはり見応えがありますね。
文化祭の倒錯劇の脚本を担当することになった修一は、保健室登校を続けながらも、劇の練習に顔を出すようになる。土居は修一の脚本にアドリブを足してアレンジするが、それが意外に好評で、修一は思い切って土居に脚本制作を手伝ってほしいとお願いする。
一方さおりは、久しぶりに修一とよしのを自宅に招き、小学生の頃のように女の子の服を着てみないかと誘う。あの頃には戻れないけれど、それでも……。修一はさおりのワンピースを見つめながら、ぼんやりとそんなことを考える。
そしていよいよ、文化祭の日がやってくる。(公式サイトより)

嫌なヤツなのか優しいのかわかんないな
土居さんは(ry
結果的に仲直りというかお互いに少し歩み寄れた二人。
たぶん土居というキャラは自分が思ったことをストレートに言ってしまう性格なのではないでしょうか。
その場でしか考えられないといいますか。
だから掴みづらいし、苦手な人には苦手な相手でもある。
しかし、根は良いヤツなのかもしれません。

女装瀬谷と男装マホマホ
複雑な人間関係が多いこの作品の中で、この二人の恋愛は自然なものであったといえます。
惜しむらくは真穂の姉としての思いやりが原作と比べて少し薄いと感じたことでしょうか(といっても小学生編までしか読んでないわけですけど
でもこういう作品で奈々さんキャラを堪能できたのだから文句はいわないぜ(ぇ
サンキューマッホ

「僕、やっぱり安那ちゃんのことが好きです」
あの一件以来、気まずい状態にあった安那ちゃん。
しかし再び二鳥と対面する機会を得たことで正直に自分の心情を吐露します。
そしてその言葉を受けた男・修一は再度告白を・・・・
「・・・だったんですよ」の破壊力が強烈な件。
修一のここ一番での押しの強さも相当ですが、安那ちゃんもまたヒロインに相応しい性格だなぁ。
当て馬的存在とかいって申し訳ありませんでしたm(__)m
今後この二人が再びどのような関係を築いていくか。
気になるところではありますが、想像に委ねたままにしておくのも楽しいかもしれませんね。

「マコちゃんは可愛いよ、ほんとだよ」
突然修一と比べられた日々の辛さをカミングアウトするマコちゃん。
ちょっと急な展開でしたが、これも前回の2話詰め込みでカットされたシーンの影響が出ているのでしょうか。
とはいえ、マコちゃんの思考回路は作品中では最も乙女のソレに近いですよね。
にとりんが好きというよりは彼が理想と描くものが「二鳥修一」という人物であるのかも。
性的な意味ではやはり兼田先生のような男らしい人の方がタイプなんじゃないかな。
まぁいずれにせよ一般からみれば気持ち悪いことに変わりはないので。
土居さんが視聴者の声を代弁してくれたときは思わず納得してしまいました(笑)

特別な男の子「だった」
さて忘れてはならないのがこの人、千葉さおり。
「ぐうの音もでないほどの畜生」と前半は恐れられた彼女も終盤では大人しめの態度が目立ちました。
それでも修一への想いは捨てきれていないように思われましたが・・・・?
しかし修一の成長を目の当たりにして自分もまたひとつの殻を破る決心がついたようです。
窓際から大声で修一の名を呼ぶ、あれは彼女の吹っ切れた気持ちを表す良いシーンだったと思います。
本当にスタッフは千葉さん大好きだなw
チッバさん「うちさぁ、ワンピースあるんだけどよってかない?」
ここまできてネタに走る必要はないだろ!いい加減にしろ!

「・・・でも、いいんだ。これで」
伸びていく身長、訪れた魔の変声期―――――
それでも自分の成長していく有り様を素直に受け止める修一の笑顔が印象的でした。
最後の決意を秘めた眼差しも“男らしさ”があって良かったですね。
クライマックスに流れたOPも明るい未来を後押しする感じで合っていたと思います。
黒バックにテロップが流れるだけのEDも、かえって印象的。
監督は「喰霊 -零-」でもこの演出を使ってましたね。
個人的には短くも濃い青春映画を観たような、そんな余韻を味わいました。
そんなわけで、アニメ版「放浪息子」はひとまずここで完結です。
ともすれば暗い話になりがちなテーマを扱うも、希望に溢れた結末にとても満足しております。
ノイタミナ枠の作品の中でも一番の秀作といってもいいんじゃないかな。
水彩の様な作画は一度も崩れませんでしたし、とにかく全てにおいて毎回のクオリティが高い作品でしたね。
キャラの人数もかなり多いのに、ほぼ全員に個性が見受けられるのもお見事。
しかし土台となる小学生編をばっさりカットしたり、10話+11話を一つにまとめたりと、尺に泣かされたのも事実。
せめて全13話構成だったら完ペキだったのになぁ。
結局反吐メガネは女装してまで何しに来たんだ。
土居さんのフォローはあったのにコイツは放置されたままなので、なにか一人だけ狂った方向に向かっていくように見えるw
なにはともあれ非常に見応えのある作品でした。
スタッフのみなさま、オツカレチャーン(マホマホ風に
そしてご覧いただいた方にも、あらためて感謝を。

永らく封印していた原作本をいよいよ解き放つ時がきた・・・・
アニメで語られていない事実を知り、さらに続きを楽しめるという幸せ。
これぞここまで我慢して読まずにおいた甲斐もあるというもの!